私のちオレときどき僕

年収400万の家づくりノート、子育て、想うことなど。日々を綴ります。

脱サラした友人の引越しを手伝った話

昨日、以下のエントリを投稿した。 


友人が30代で脱サラしてリアルおおかみこどもの雨と雪ライフを目指すって話 - 私のちオレときどき僕

 
本日お届けするのはその後日談。脱サラした友人モッさんの引越しの手伝いをした時の話。
 
出立の日の朝。
僕とよっしー(前回一緒に飲んだもう一人)はモッさんの家に行って荷物を運び出す。しかしやたらと量が多い。段ボールにしておよそ50箱。ちなみにモッさんが住んでいるアパートは8階建てで、エレベータはあるものの一部は階段を使わないといけないという我々のような即席の引っ越し屋にはハードモードな仕様だ。
 
 「運ぶ前にもう少し処分出来なかったのか」
 「途中で一個ずつ捨てていったら分からないんじゃないか」
 「このカシオのボロいギターは捨てて良いんじゃないか」
 
等と我々がぶつくさ言っていると
 
 「選別してる時間が無かったんだよ。てか全部要るし。まだメッチャ弾くし」
 
と言い訳にもならない強がりを吐くモッさん。まぁ良い。今日は頼もしい助っ人がいる。モッさんのバンドつながりの知り合い、ナナヤンさんとショートホープさん。1tトラックを持っていて、これから迎えに来てくれるのだ。ナナヤンさんのトラックの荷台に積み込んでしまえばこっちのもの。
 
...そう思っていた時期がオレにもありました。
 
トラックの荷台に段ボール50箱を乗っけたまでは良かったが、量が多過ぎてこんもりと山のように積み上がってしまった。このまま走行したのでは高速道路に荷物をまき散らすハメになるため、ザイルのような丈夫なヒモを使って南京縛り(万力縛り)という結び方でガッチリ締める。しかし、それでもバランスが悪くフラフラとしていて危なっかしい。上からビニールシートをかぶせてさらにヒモでグルグル巻きにして固定。汗ダラダラになりながら、これでなんとかいけるだろう、という状態になった時には既に太陽は頂点近くに達していた。
 
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(山積みになった段ボール。このままでは輸送不可なのでヒモとビニールシートで固定した)
 
 先導  :よっしー車
 本体  :ナナヤントラック
 しんがり:ショートホープ車
 
このパーティー編成でそろりそろりと走り出してから3分程。
トラックの後ろを走っていたショートホープさんから電話。
 
 「ちょっと停まれ」
 
走り出して揺れたことで荷物を縛っていたヒモが緩んだらしい。
ヒモを締め直して再度出発。今度は大丈夫そうだ。しばらく道なりに進んで高速に乗る。
 
ほっとしたのもつかの間。
ここからが本番だった。
 
高速はスピードが出る分、風圧がぐっと上がる。
荷台のビニールシートがモロに風の影響を受けて揺れまくる。
負荷をなるべく軽くするためスピードを出さないように気をつけながらゆっくり進む。
10分程進んでようやく名古屋を出るか出ないかというポイントに差し掛かったあたりだった。
 
 「パシッ!」
 
と乾いた音。
なんだろう?石でも当たったのかな?と思ってサイドミラーから荷台を見ると
 
 「おい!荷台のヒモが切れてる!!!!」
 
あばばばばばばばばば!!
急いで路肩のスペースに停める。
 
こ、高速で路肩に停めるとか嫌なニュースの予感しかしないんですけど!!
神様仏様、権藤権藤雨権藤。 
 
確認すると、一部をゴム製のヒモで固定していたのだがそこが圧力に耐えきれず千切れたらしい。
ザイルヒモで早急に締め直し作業 at the 路肩 on the ハイウェイ。
時間にすればせいぜい10〜15分程度だったと思うが、ジリジリと焦る気持ちからか永遠のように長く感じられた。 
 
このような状況下では我々素人には手の出しようもなくナナヤンさんとショートホープさんの迅速かつ的確な作業により処置を終えることが出来、事なきを得た。
嫌なニュースにならなくて本当に良かった。
ナナヤンさんとショートホープさん。ソツなく仕事をこなす渋みのある中年という感じでとても格好良かった。
 
再々出発。
その後は大きなトラブルもなく現地へ到着することが出来た。 現地で大家さんに挨拶をして荷物を新居に運び入れる。最後のほうでは握力が限界に達し、二の腕が悲鳴をあげていた。
 
搬入作業が終わったところで居間で休憩。改めて建物をぐるりと見渡す。築100年というから一体どんな代物かと思ったが、思ったほど古風な出で立ちではない。途中で増改築をしているため、外見は案外普通だったし、中身も田舎にありがちな普通の家だ。ところどころガタが来ている箇所があるがそこを順次補修していれば十分快適に住めるだろう。
 
大家さんとその家族は滅茶苦茶良い人達で、初対面の僕たちにも気さくに話しかけてくれた。大家さんが出してくれたお茶とお菓子を口に運びながらしばし談笑。
 
 「本当にこんなところに住むので良いのかい?もっと良いところあるだろうに」
 「お友達もいつでも遊びにおいで」
 「ただし冬は雪がたくさん降るから気をつけてな」
 
最後の雪のくだりは10回くらい繰り返し念を押しされた。
雪国怖い。
 
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(庭にあった古井戸、正確には山から水を引いていた跡)
 
モッさんとは現地でお別れ。よっしー車で帰路につく。僕はかばんを開けて、出立する前にモッさんが渡してくれたものを確認する。
直筆で「お礼」と書かれた白い封筒。律儀なヤツだ。
それと
 
 「これ聞いたことある?よければ貸すよ。これとか多分気に入ると思う」
 
と言って貸してくれた、レキシ、LITTLE TEMPO手嶌葵のCD。
今年の秋はこれを聴いて過ごすとしよう。 
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(レキシ、リトテン、手嶌葵のCD)
 
はて、これはいつ返すんだろうな?と一瞬思ったが、深く考えないことにした。
借りたものを返す、という口実で近いうちにまた遊びにいけば良いのだ。
いつ果たされるか分からない、約束とも呼べないような小さな約束。
そんなのも、たまには良いだろう。
 
(了)