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私のちオレときどき僕

年収400万の家づくりノート、子育て、想うことなど。日々を綴ります。

世の中の経営者各位に告ぐ「人は財産だ。安易な人件費削減は自滅への第一歩と思え」

数年前。

知人が以前勤めていた会社の話。

社長室で経営者がひとり

「一体何が起こってるんだ…」

と頭を抱えていた。

頭痛の種は相次ぐ社員の退職。

1年間で7人。

社員規模が数十名の中小企業としては相当な痛手だ。

その中には仕事ぶりに脂の乗ってきた中堅社員や長年勤めてきたベテラン社員も含まれていた。

発端はさかのぼること2年前。

「無駄を削減する」

との名目で経営者から残業代カットが発表された。

勿論、直接的に

「残業代カット」

と言ったわけではない。

「仕事が出来て定時で退社するやつより、仕事が出来なくて残業してるやつのほうが給料多いのはフェアじゃないよな?」

と、経営者。

単純に残業代をカットすると法律的にも問題になるだろうから、残業をしてもしなくても最初から一定額の残業手当がつく制度を採用した。

法には触れないように注意して導入したらしい。

実際はそんなところに注意している場合ではなかったのだが…。


✴︎


一見、もっともでフェアなようにも見えるこのシステム。しかし上限時間を超えない限りはどれだけ残業しても同じ。

会社のため、ひいては働く社員のため等と綺麗な言葉をとってつけたところで、結局のところはただの人件費削減であることは誰の目にも明白だった。

仮に最初からその制度だったら問題は無かったのかもしれない。しかし途中から半ば強引に採用したのが仇となった。

「今まで貰えていたものがもらえない」

「うちの会社は大丈夫なのか」

社員の不満と不安は募る一方だった。

それでも最初の頃は皆なんとか自分達を奮い立たせて頑張った。

「自分達にも甘えがあった」

「社長も頑張っている」

「売上と利益を伸ばせば良いんだ」

しかし、不景気な世の中だ。

そんなに急には業績は上がらない。

追い打ちをかけるように、何故かこのタイミングで総務部と人事部が新設される。

総務部・人事部は会社の基礎となる重要な役回りだが、直接的には金銭を稼げない部だ。

「うちのような規模の会社で果たして必要なのか?」

「Excelすらまともに使えないような人間と自分で同じくらいの給料なのか…」

「あいつらに自分の稼ぎをとられているのか…」

多くの社員は負の思考のスパイラルに陥っていった。

しかし経営者は気づかない。

それどころか、

「もっと売上を増やせ!」

と何のプランもなく吠えるだけ。

社員達は疲弊し、失望していった。


✴︎


今だからこそ聞けた話だが、妻帯者で子供もいる知人の当時の手取りは18万円。

その部下である独身の社員などは手取りが12〜3万円だったと聞く。

そして残業代もつかない。

これでどうやってやっていけというのか。

その場しのぎのコストカットでたて直しをはかった経営者。

せめて

「すまん、今はこれだけしか払えないが経営計画で行けば数年後にはこうなる予定だ。ついて来てくれないか」

等と話があればまた違っただろう。

それも無いどころか

「お前らがやらないから業績が伸びないんだ。さっさと営業に行ってこい!」

の一点張りだったらしい。

何も見えていない経営者。

「一体何が起こっているんだ…」

頭を抱えるのはポーズだけ。

経営者以外の周囲の人間には

「何が起こっているか?」

全て見えていたのに。


(終)