若者が逃げていく会社「ため息ばかりじゃ何も変わらないですよ、社長さん!」
先日、昔から馴染みのある会社の社長さんにお会いする機会があった。
その会社は規模こそ小さいものの製造業一筋で二十余年。コツコツと頑張って来た会社で、社長さんも年齢を感じさせないパワフルな人物だ。
しかし、その日はどことなく浮かない顔をしていて元気の無い社長。もしやと思って聞いてみると案の定。今年の春からの消費増税の影響もあってか今季の売り上げがかなり悪いらしい。
「こういう時こそ、初心に戻って地道に営業じゃないですか?」
と振ると
「いやぁ若いフレッシュな人間を採用しようとしてるんだけどねぇ。募集かけても全然来ないんだよねぇ」
とため息。
「そうですか。あ、じゃあ○○さんはどうです?彼なら若手筆頭だしガンガン営業行けるんじゃないですか?」
「○○は先月で辞めたよ。いきなりで取り付く島もなかった。あんなに話の通じないやつだったとはな」
と今度は一転、憤慨モード。
「そ、そうですか。あ、じゃあここは空気を変える意味でも製品のラインナップ見直しはどうですか?新商品のアイディアも出てくるかもしれないですし」
「いやぁ、それもなかなか余裕が無くてねぇ」
とまたまたしょんぼり。取り付く島もないのは社長のほうである。
若い人間が来ない、と社長は嘆いた。そりゃそうだろう。あれも出来ない、これも出来ないの言い訳ばかりでしまいには世間に恨み言を並べる始末。若い人間でなくても、こんなしょぼくれたオーラの無い人間がトップをつとめる会社に入りたいとは誰も思わないだろう。
さすがに部外者である僕からはそんなことは言えなかったので
「すぐに挽回するのは無理でも、中長期的に成長していくために計画を立てて、ひとつずつやっていきたいですね」
とだけ言って切り上げた。
*
ため息ばかりじゃ何も変わらない。
計画を立てて、行動しなければ。
プロセスが変わらなければ結果は同じ。
変わらないのだ。
一刻も早くパワフルだった頃の社長に戻って、また景気の良い話を聞かせてくれることを願うばかりである。
(終)